フランス発の日用使いできる手工芸品

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カルトナージュは、フランスで生まれた伝統工芸で、別名「布箱」や「茶箱」と呼ばれています。
カルトンと呼ばれる厚紙を切り、布や紙を組み合わせながら貼り付け、小箱のようなインテリア小物や、ステーショナリーに組み立てていきます。
カルトナージュ誕生については諸説あり、貴族がお茶の葉を入れるために作られたという説や、蚕と繭を入れるために作られたという説、また、香水商が輸送のために考案したという説などがありますが、おおむね18世紀頃にはフランスで使用されていたということで間違いないようです。
カルトナージュの魅力は、なんといっても、その見た目の美しさにあります。
布や紙だけでなく、リボンやレース、ビーズにスパンコール、タッセルなどで飾り付ければ、箱の存在そのものが芸術品となります。
また、制作の気軽さも魅力です。

基本的に、カルトナージュは針と糸を用いません。
水で薄めたボンドを用い、布が皺にならないよう丁寧に貼り付けていくだけです。
注意をしなければならないのが、ボンドを塗った際に、ベースとなる厚紙が縮んだり、反ったりしてしまうこと。
これを避けるためには、出来るだけ厚みのある紙を選ぶことが重要になります。
また、布を貼り付けた後、乾くまで重石を乗せたり、ピンチなどでしっかり固定することも有効です。

近年ではカルチャースクールなどでのカルトナージュ教室も増え、日本での愛好家人口も増えてきたカルトナージュですが、リサイクルを考える面からも大変評価されています。

東京でもカルトナージュ教室は相当数あると思います。

たとえば、牛乳パックを使ってペンスタンドやスツールを作ったり、ブランドの紙バッグを使って、ゴージャスなインテリア小物を作ったり……。

食料品のパッケージや通販の段ボール箱、着なくなった洋服や着物など、日常の中には、カルトナージュの材料となるものがあふれています。
カルトナージュの技法を活用すれば、捨てられるはずだったものも美しく蘇ります。
針も糸もいらないカルトナージュは、センスとアイデアで生活を豊かにする、伝統の手工芸品なのです。